いじめ防止基本方針

1 いじめ防止等のための基本理念


 いじめは、人として決して許されない行為である。しかしながら、いじめは、どの児童にも、どの学校にも起こり得るという認識に立ち、学校・家庭・地域・その他の関係機関が一体となって、一過性ではなく、継続して、いじめの早期発見・早期対応に取り組むとともに、未然防止と再発防止に努めることが重要である。
 いじめ問題にあたっては、学校全体で組織的な取組を進める必要がある。とりわけ、「いじめを生まない土壌づくり」に取り組む未然防止の活動は、教育活動の在り方と密接に関わっており、すべての教職員が日々実践することが求められる。
○いじめの定義(いじめ防止対策推進法第2条1項)
 「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいう。
※ いじめの起こった場所は学校の内外を問わない。
※ いじめの定義 4つのポイント
ア 行為をした者(A)も行為の対象となった者(B)も児童であること
イ AとBの間に一定の人的関係が存在すること
ウ AがB対して心理的または物理的な影響を与える行為をしたこと
エ Bが心身の苦痛を感じていること
○基本理念
 本校においては、ひたちなか市のいじめ撲滅宣言「いじめをしない ゆるさないまち ひたちなか」(平成8年3月宣言)及び「なくそういじめ 咲かせよう笑顔の花 思いやりの種を育てよう」(平成27年度笑顔サミット採択)を実現させるために、学校・家庭・地域、その他の関係機関と連携し、下記のことを基本に取り組む。
※「いじめは、誰にも、どの学校においても起こり得る」、「いじめは決して許されない」という認識に立ち、いじめから児童を守るために、学校教育活動全体を通して、すべての児童に、規範意識の高揚や自分と他者とお互いに尊重し合う意識や態度等、人権意識を育て、いじめの起こりにくい環境づくりに努める。
※いじめが児童の心身に重大な影響を及ぼすという認識に立ち、すべての児童が、安心して学校生活を送り、様々な活動に主体的に取り組むことができるよう、学校の内外を問わず、いじめの未然防止に努める。
※いじめをしたり、いじめを認識しながらこれを放置したりすることなく、学校・家庭・地域が連携し、一体となって組織的に早期発見・早期対応に努めるとともに、必要な措置を講ずる。

2 いじめ防止等に取り組む組織


 いじめ問題にあたっては、「いじめを根絶する」という強い意志をもち、学校全体で組織的な取組を行う。早期発見・早期対応はもちろんのこと、いじめを生まない土壌を形成するための「予防的」「開発的」な取組を、あらゆる教育活動において展開する。
 いじめ問題への組織的な取組を推進するため、いじめ問題に特化した機動的な「いじめ問題対策委員会」を設置する。この組織は、教職員全員で共通理解を図り、学校全体で総合的ないじめ対策を行う。また、組織が有効に機能しているかについて、定期的に点検・評価を行い、児童の状況や地域の実態に応じた取組への見通しを行う。
○いじめ問題対策委員会
【役 割】
・いじめを未然に防止するための取組や具体的な年間計画を作成する。
・いじめの相談・通報の窓口となる。
・いじめに関する情報の収集・記録・共有を行う。
・いじめ防止のための指導や対応方針を決定する。
・いじめを受けた児童又は保護者に対する支援を行う。
・いじめを行った児童に対する指導とその保護者に対する助言を行う。
・いじめ防止の取組についてPDCAサイクルで検証を行う。
【構成員】
・校長、教頭、教務主任、生徒指導主事、保健主事、各学年主任、養護教諭を基本とする。状況に応じて、学級担任や特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、心の教室相談員、主任児童委員等を追加するなど柔軟なメンバーとする。

3 いじめ防止等の具体的な取組


(1)いじめの未然防止
 市全体で取り組む「魅力ある学校づくり」「笑顔プロジェクト」を、教育活動全体を通して推進するとともに、「いじめが起こらない学級・学校づくり」等、いじめの未然防止に取り組む。そのため、「いじめは、どの学校にも学級にも起こり得る」という認識をすべての教職員がもち、学校教育活動全体を通して、児童が安全・安心に学校生活が送ることができるよう好ましい人間関係を築き、豊かな心を育てる活動に取り組んでいく。また、児童一人一人の自己有用感や自己肯定感等を高められるよう、規律正しい態度で授業や行事に主体的・自主的に参加・活躍できる環境づくりを進めていく。
○わかる授業づくりを進めるとともに、学習規律の確立を進める。
・教科主任会、教科部員会、及び相互授業参観等を通して、意見交換を活発にし、わかる授業、児童が主体的に取り組める授業づくりを進める。
・学習規律(正しい姿勢、発表の仕方や聞き方等)の確立を進める。
・帰属意識や互いを高め合う(間違いや冷やかし、からかい等のない)学級づくりに努める。
○学級活動や学年・学校行事等を通して「魅力ある学校づくり」に努める。
・学校全体の特別活動(児童会活動や縦割り班活動等)や学級活動、学年・学校行事における主体的な活動を通して、児童が自分自身を価値ある存在と認め、お互いを大切に思い、支え合い助け合う居場所づくり・絆づくりに努める。
・児童一人一人を大切にした教育活動を展開し、受容的な雰囲気と規律を大切にした学級づくり・仲間づくりに努める。
・教育活動全般をとして、いじめのない笑顔あふれる学校づくり「笑顔プロジェクト」の推進を図る。
○道徳の時間の充実を図り、豊かな心を育てる。
・いじめ問題は、他人を思いやる心や人権意識の低下から発生することを念頭に置き、「特別の教科 道徳」の授業の充実を図る。
・道徳教育を通して、心根が揺さぶられる教材や資料を吟味し、いじめの抑止につながる授業を実践する。
○地域の方や保護者への理解啓発に努める。
・いじめの未然防止の取組について、学年・学校だよりやホームページ等による広報活動を積極的に行うことにより、開かれた学校づくりに努める。
・児童の体験活動(米作り、さつまいも栽培、福祉体験等)を通して、地域の方との交流を深める機会を設ける。
・児童が安全に正しくインターネット端末通信機器を利用するために、出前授業(ネットトラブル防止教室等)や家庭内ルールを作るための動画・資料配信等(H&S、Google Classroom)を通して、保護者や地域の協力が得られるよう、働きかけを行う。

(2)いじめの早期発見
 いじめは、早期に発見することが、早期の解決につながる。早期発見のために、日頃から教職員と児童との信頼関係の構築に努めるとともに、児童の小さな変化を敏感に察知し、いじめを見逃さない認知能力を向上できるようにする。また、日頃から児童に関わるすべての教職員の間で情報共有し、状況に応じて保護者とも連携して情報を収集する。
○早期発見の手立て
【日々の観察】
・日常の生活の中での教職員の声かけ等、児童が日頃から気軽に相談できる環境をつくる。休み時間や昼休み、放課後の雑談等の機会に、児童の様子に目を配り、『児童がいるところには、教職員がいる』ことを目指し、児童と共に過ごす機会を積極的に設ける。
・「いじめ防止チェックリスト」を活用した研修を行い、教職員一人一人が児童の小さな変化やいじめの兆候を見取る資質を高められるようにする。
【教育相談】
・全校児童や保護者を対象に、心の教室相談員やスクールカウンセラーなどの教育相談ができることを告知し、希望があれば相談を行う。
・児童が悩みやいじめ等についていつでも教師と相談できる体制づくりを行う。
・全校児童を対象に定期的に教育相談や二者面談を行ったり、ほっとポスト(悩み相談)を設けて教育相談を実施したり、積極的に児童の声を聴いたりするようにする。
【生活(いじめ実態調査)アンケートの活用】
・毎月1回、学校生活アンケート(いじめ実態調査)を実施する。その際、いじめを受けている児童にとっては、その場で記入することが難しい状況も考えられるので、実施方法については、記名、無記名、持ち帰り等、状況に応じて配慮する。
【長堀小オンライン相談窓口(クローバーくん相談室)の設置】
・学校ホームページにオンライン相談窓口(クローバーくん相談室)を設置し、児童が直接タブレット端末等を使用し、いつでも教職員へ相談できるようにする。
・困難な事態、強い心理的負担を受けた場合における対処の仕方を身に付けるための教育を実施する。
   子どもホットライン 電話221-8181
   ひたちなか市いじめ不登校相談センター 電話274-7839
【保護者との信頼関係の構築】
・日頃から、児童のよいところや気になるところ等、学校の様子について情報共有を心掛け、保護者がいじめに気付いた時に、安心して学校へ連絡できるよう、保護者との信頼関係を築くことに努める。
・保護者との二者面談(夏期休業中)を通して、児童の様子の変化や人間関係等について情報交換をし、一緒に対応策を模索することで、保護者との信頼関係等が築けるようにする。

(3)いじめへの対応
 いじめの兆候を発見した時は、問題を軽視することなく、早期に適切な対応をする。学級担任は、いじめを受けている児童の苦痛を取り除くことを最優先に迅速な指導を行い、解決に向けて一人で抱え込まず、学年及び学校全体で組織的に対応する。また、いじめの再発を防止するため、日常的に取り組む実践計画を立て、保護者と連携をとりながら継続的に支援する。
○いじめ発見時の対応
・いじめを発見・認知した教職員は、その時に、その場で、いじめを止めるとともに、いじめに関わる関係者に適切な指導を行う。
・直ちに学級担任、学年主任、生徒指導主事等に連絡し、管理職に報告する。
・正確な事実関係を把握するため、複数の教職員で対応することを原則とし、「いじめ問題対策委員会」で協議し、「いじめの認知の判断」を行い、教職員間での連携と情報共有を随時行う。
・この他、アンケート結果や児童・保護者等からのいじめの疑われる情報をもとに、「いじめ問題対策委員会」で協議し、「いじめの認知の判断」を行い、教職員間での連携と情報共有を随時行う。
○いじめが起きた場合(いじめ発見後)の対応
・「いじめ問題対策委員会」を中心に対応を決定し、以下の対応を迅速かつ組織的に行う。
ア 正確な事実の把握。
イ いじめを受けた児童に対する支援並びにその保護者に対する情報提供及び支援。
ウ いじめを行った児童に対する指導及び支援並びにその保護者に対する支援。
エ 全体の問題として、児童全体への指導。
・重大事案に対しては、教育委員会、関係機関(警察等)と連携を図り、適切な対応を講じる。
ア 他校が関係する場合
イ 学校以外で起きた場合
ウ 指導上困難である場合
エ SNS等のトラブルの場合
オ 犯罪行為として取り扱われるべきものである場合
・いじめを受けた児童が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講じる。
○いじめ解消後の継続的な対応
・いじめが解消したと見られる場合でも、再発防止に向けて、学校全体で引き続きいじめを受けた児童・いじめを行った児童への十分な観察・調査を行い、定期的に必要な支援・指導を継続的に行う。(いじめ解消の判断期間は、少なくとも3か月設ける。)
・いじめを受けた児童に対し、担任を中心に教育相談、日記、手紙などを通して積極的に関わり、その後の状況についての把握に努める。
・いじめを受けた児童・保護者と定期的な面談を行い、学校の対応状況、児童の学校での様子等について、報告・確認をする。
・いじめの発生を契機として、職員会議や職員集会、校内研修等で事例を検証し、再発防止・未然防止のために日常的に取り組むことを洗い出し、実践計画を立て、いじめのない学級づくりへの取組を強化する。

(4)重大事態への対応
〇重大事態の定義
・いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(法第28条第1項第1号)及び、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間(年間30日を目安、または一定の期間連続)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。(法第28条第1項第2号)
〇重大事態が発生したときの対応
ア 発生報告(法第30条第1項)
・重大事態が発生した旨を、ひたちなか市教育委員会へ報告し、教育委員会指導・支援のもと対応に当たる。
イ 情報提供(法第28条第2項)
・当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
・提供にあたっては、他の児童のプライバシー保護に配慮するなど、適切な方法を用いる。

   令和6年7月改正