いじめ防止基本方針

令和6年度

1 いじめの防止等のための基本理念


 いじめは、人として決して許されない行為である。しかしながら、どの児童にも、どの学校にも起こり得るという認識に立ち、学校、家庭、地域、その他の関係機関が一体となって、一過性ではなく、継続して、未然防止、早期発見、早期対応に取り組むことが重要である。 いじめ問題にあたっては、学校全体で組織的な取組を進める必要がある。とりわけ、「いじめを生まない土壌づくり」に取り組む未然防止の活動は、教育活動の在り方と密接に関わっており、すべての教職員が日々実践することが求められる。

○ いじめの定義
 「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいう。(いじめ防止対策推進法第2条1項)
※ いじめの起こった場所は学校の内外を問わない。

2 いじめ防止等に取り組む組織


 いじめ問題にあたっては、「いじめを根絶する」という強い意志をもち、学校全体で組織的な取組を行う。早期発見・早期対応はもちろんのこと、いじめを生まない土壌を形成するための「予防的」「開発的」な取組を、あらゆる教育活動において展開する。いじめ問題への組織的な取組を推進するため、いじめ問題に特化した機動的な「いじめ問題対策委員会」を設置し、そのチームを中心として、教職員全員で共通理解を図り、学校全体で総合的ないじめ対策を行う。また、組織が有効に機能しているかについて、定期的に点検・評価を行い、児童の状況や地域の実態に応じた取組を展開する。

○ 学年会・いじめ問題対策委員会
【開催】
・定例会(学年会時)・・・定期的な調査の実施後(月1回以上)
・随時・・・・いじめ問題対策委員会

【構成員
・校長、副校長、教頭、教務主任、生徒指導主事、保健主事、各学年主任、養護教諭、 心の教室相談員、スクールカウンセラーを基本とし、状況に応じて学級担任や特別支援教育担当を追加するなど柔軟なメンバーとする。

【役割】
・いじめを未然防止するための取組や具体的な年間計画を作成する。
・いじめの相談・通報の窓口となる。
・いじめであるか否かの判断を行う。(いじめの認知)
・いじめに関する情報の収集・記録・共有を行う。
・いじめの未然防止のための指導や対応方針を決定する。
・いじめを受けた児童や保護者に対する支援を行う。
・いじめを行った児童に対する指導とその保護者に対する助言を行う。
・いじめの未然防止の取組についてPDCAサイクルで検証を行う。

3 いじめ防止等の具体的な取組

(1) いじめの未然防止
 いじめ防止年間行動計画を策定し、「いじめが起こらない学級・学校づくり」等、いじめの未然防止に取り組む。そのため、「いじめは、誰にも、どの学校にも学級にも起こり得る」、「いじめは決して許されない」という認識をすべての教職員がもち、学校教育活動全体を通して、好ましい人間関係を築き、豊かな心を育てるとともに、児童が安心・安全に学校生活が送ることができ、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できる環境づくりを進めていく。


分かる授業づくりを進めるとともに、学習規律の確立を進める。
・教科部員会、及び相互授業参観や授業スタイルブックの活用等を通して、意見交換を活発にし、分かる授業、児童が主体的に参加・活躍できる授業づくりを進める。さらに、学習規律(正しい姿勢、発表の仕方や聞き方等)の確立を進める。

学級活動や学年・学校行事等を通して、居場所づくり、絆づくりに努める。
・児童会活動や学級活動、学年・学校行事における主体的な活動を通して、児童が自分自身を価値ある存在と認め、お互いを大切に思い、支え合い・助け合う仲間づくりに努める。

SOSの出し方に関する支援の充実を図り、安心して生活できる学校を築く。
・児童の表情や言動を丁寧に観察することは、いじめの未然防止に欠かせない視点である。児童の変化を見逃さず、不安や悩みを抱える児童がSOSを出しやすい環境づくりを構築することで、誰もが安心して生活できる学級・学校を築いていく。SOSの出し方に関する授業の実践や教育相談の体制の充実を図る。

道徳科の時間の充実を図り、豊かな心を育てる。
・いじめ問題は、他人を思いやる心や人権意識の低下から発生するものである。道徳教育において、心根が揺さぶられる教材や資料を吟味し、いじめの抑止につながる授業を実践する。

地域の方や保護者への働きかけを行う。
・いじめの未然防止の取組について、学年・学校だよりやホームページ等による広報活動を積極的に行うことにより、開かれた学校づくりに努める。
・児童のボランティア活動(地域行事への参加等)、職業体験、福祉体験等の活動を行い、 地域の方と交流を深める機会を設ける。

(2) いじめの早期発見
 いじめは、早期に発見することが、早期の解決につながる。早期発見のために、日頃から教職員と児童との信頼関係の構築に努めるとともに、児童の小さな変化を敏感に察知し、いじめを見逃さない認知能力を向上させるように努める。また、児童に関わることをすべての教職員の間で情報共有し、保護者とも連携して情報を収集する。

早期発見の手立て
【日々の観察】
・日常の生活の中での教職員の声かけ等、児童が日頃から気軽に相談できる環境をつくる。休み時間や昼休み、放課後の雑談等の機会に、児童の様子に目を配り、「児童がいるところには、教職員がいる」ことを目指し、児童と共に過ごす機会を積極的に設ける。

【教育相談】
・児童が悩みやいじめ等についていつでも教師と相談できる体制づくりを行う。
・定期的に教育相談(二者面談等)を実施する。
・学校ホームページに相談窓口(佐来楽(さくら)くん相談室)を設け、児童が常時相談できるような状況にする。

【生活(いじめ実態調査)アンケート】
・毎月1回、生活(いじめ実態調査)アンケートを実施し、その結果、いじめの認知件 数が極めて少なかった場合は、認知漏れがないことを確認する。
・いじめられている児童にとっては、その場で記入することが難しい状況も考えられる ので、実施方法については、記名、無記名、持ち帰り等、状況に応じて配慮し実施する。

【保護者との信頼関係の構築】
・日頃から、児童の良いところや気になるところ等、学校の様子について連絡することを心掛け、保護者がいじめに気付いた時に、即座に学校へ連絡できるよう、保護者との信頼関係を築くことに努める。

(3) いじめへの対応
 いじめの兆候を発見した時は、問題を軽視することなく、早期に適切な対応をする。いじめられている児童の苦痛を取り除くことを最優先に迅速な指導を行い、解決に向けて一人で抱え込まず、学年及び学校全体で組織的に対応する。また、いじめの再発を防止するため、日常的に取り組む実践計画を立て、継続的に支援する。

いじめ発見時の対応
・いじめを認知した教職員は、その時に、その場で、いじめを止めるとともに、いじめに関わる関係者に適切な指導を行う。あわせて、ただちに学級担任、学年主任、生徒指導主事に連絡し、管理職に報告する。また、正確な事実関係を把握するため、複数の教職員で対応することを原則とし、「いじめ問題対策委員会」の指示のもとに教職員間の連携と情報共有を随時行う。

いじめが起きた場合の対応
・「いじめ問題対策委員会」を中心に対応を決定し、以下の対応を迅速かつ組織的に行う。
(1)いじめを受けた児童に対する支援及びその保護者に対する情報提供を行う。
(2)いじめを行った児童に対する指導及び支援並びにその保護者に対する支援を行う。
(3)いじめは、加害者と被害者のみの問題するのではなく、周囲の児童を含めた全体の問題として捉え対処する。
・ いじめ対応が指導上困難である場合には、市教育委員会と連携を図り、「いじめ・不登校相談センター」所属の教育相談員、警察や児童相談所等の関係機関と連携するなど、より適切な対策を講ずる。
・ インターネットを通じて行われる不適切な書き込み等については、被害の拡大を防ぐため、直ちに削除等の措置を行い、必要に応じて、警察のサイバー対策部門や関係機関等の協力や援助を求める。
・ いじめを受けた児童が、安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講じる。
・ いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認める時には、ひたちなか市教育委員会と連携の上、学校と警察との連絡制度に基づき適切に対応する。
・ いじめに関係する児童が複数の学校に及ぶ場合には、関係する学校が連携して対応する。また、塾や社会教育関係団体等から、学校以外の場で起きたいじめの連絡を受けた場合には、当該団体等の責任者と学校が連携して対応する。

(4)いじめの解消
 いじめは、単に謝罪をもって安易に「解消」とすることはできない。いじめが「解消」している状態とは、少なくとも次の2つの要件を満たす必要がある。
(1)いじめを受けた児童に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)が止んでいる状態が相当の期間(少なくとも3ヶ月)継続していること。
(2)いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、いじめを受けた児童が、いじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。いじめを受けた児童本人と保護者に対し、面談等により確認する。

いじめが起きた後の継続的な対応
・ いじめが解消したと見られる場合でも、再発防止に向けて、引き続き十分な観察を行い、 折に触れて必要な指導を継続的に行う。
・ 教育相談、日記、手紙などで積極的に関わり、その後の状況について把握に努める。
・ いじめの発生を契機として、事例を検証し、再発防止・未然防止のために日常的に取り組むことを洗い出し、実践計画を立て、いじめのない学級づくりへの取組を強化する。

4 重大事態への対応


重大事態(いじめ防止対策推進法第28条)
・いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
・いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間(年間30日を目安とする。)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

重大事態が発生したときの対応
・その旨をひたちなか市教育委員会に報告し、教育委員会の指導・支援のもと対応に当たる。
「いじめの重大事態対応マニュアル」より
(1)重大事態の調査組織を設置する。
(2)調査組織で、事実関係を明確にするための調査を行う。
(3)いじめを受けた児童及びその保護者に対し、必要な情報を適切に提供するものとし、提供に当たっては、他の児童等のプライバシー保護に配慮する。
(4)調査結果をひたちなか市教員委員会に報告する。
(5)調査結果を踏まえた必要な措置を行う。

関係機関への支援要請
・重大事態の対応において、ひたちなか市教育委員会と連携の上、必要に応じて専門機関や警察等、関係機関への通報を行い、支援を要請する。

【参考資料】
「ひたちなか市いじめ防止基本方針」ひたちなか市 令和元年7月22日改定