いじめ防止基本方針
1.いじめ防止等のための基本理念
「いじめは,誰にも,どの学校においても起こり得る」「いじめは,人として決して許されない行為である」という認識に立ち,いじめから児童を守るために,学校の教育活動全体を通して,全ての児童に,規範意識の高揚や自分と他者とお互いに尊重し合う意識や態度等,人権意識を育て,いじめの起こりにくい環境づくりに努める。
いじめをしたり,いじめを認識しながらこれを放置したりすることなく,学校,家庭,地域,その他の関係機関が一体となって,一過性ではなく継続して組織的に未然防止及び早期発見・早期対応に努めるとともに,必要な措置を講ずる。
いじめが児童の心身に重大な影響を及ぼすという認識に立ち,全ての児童が,安心して学校生活を送り,様々な活動に主体的に取り組むことができるよう,学校の内外を問わず,いじめの未然防止に努める。
いじめ問題にあたっては,学校全体で組織的な取組を進める必要がある。とりわけ,「いじめを生まない土壌づくり」に取り組む未然防止の活動は,教育活動の在り方と密接に関わっており,すべての教職員が日々実践することが求められる。
◆いじめの定義(いじめ防止対策推進法第2条1項)
『いじめ』とは,「児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいう。
なお,いじめの発生場所は学校の内外を問わない。
2.いじめ防止等に取り組む組織
いじめ問題にあたっては,「いじめを根絶する」という強い意志をもち,学校全体で組織的な取組を行う。早期発見・早期対応はもちろんのこと,いじめを生まない土壌をつくるための「予防的」「開発的」な取組を,あらゆる教育活動において展開する。
いじめ問題への組織的な取組を推進するため,いじめ問題に特化した機動的な「いじめ問題対策委員会」を設置する。この組織は,全教職員でいじめ防止等の共通理解を図り,学校全体でいじめ対策を行う中核的な役割を担う。また,「学校基本方針」が学校の実情に即して機能しているか点検し,必要に応じて見直す。
◆ いじめ問題対策委員会
【役 割】
・いじめの相談・通報の窓口となる。
・いじめに関する情報の収集・記録・共有を行う。
・いじめ防止のための指導や対応方針を決定する。
・いじめを受けた児童又は保護者に対する支援を行う。
・いじめを行った児童に対する指導とその保護者に対する助言を行う。
・いじめ防止の取組についてPDCAサイクルで検証を行う。
【構成員】
・校長,教頭,教務主任,生徒指導主事,保健主事,各学年主任,養護教諭を基本とする。状況に応じて,学級担任や部活動顧問等を追加する。
3.いじめ防止等の具体的な取組
(1)いじめの未然防止の取組について
市全体で取り組む「魅力ある学校づくり」「笑顔プロジェクト」を教育活動全体を通して推進するとともに,「いじめが起こらない学級・学校づくり」等,いじめの未然防止に取り組む。そのため,「いじめは,どの学校にも学級にも 起こり得る」という認識をすべての教職員がもち,学校教育活動全体を通して,好ましい人間関係を築き,豊かな心を 育てるとともに,児童が安心・安全に学校生活が送ることができ,規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍 できる環境づくりを進めていく。
ア わかる授業づくりを進めるとともに,学習規律の確立を図る。
教科部員会,及び相互授業参観等を通して,意見交換を活発にし,わかる 授業,児童が主体的に参加・活躍できる授業づくりを進める。さらに,学習規律(正しい姿勢,発表の仕方や聞き方等)の確立を進める。
イ 学級活動や学年・学校行事等を通して,居場所づくり,絆づくりに努める。
児童会活動や学級活動,学年・学校行事における主体的な活動を通して,児童が自分自身を価値ある存在と認めお互いを大切に思い,支え合い助け合う仲間づくり進める。
ウ 道徳教育の充実を図り,豊かな心を育てる。
道徳の時間を中心に学校教育活動全体を通して,他人を思いやる心,人権意識,規範意識を高める教育を推進し豊かな人間性を育てる。
エ 地域の方や保護者への理解啓発に努める。
いじめの未然防止の取組について,学年・学校だよりやホームページ等による広報活動を積極的に行うことにより,開かれた学校づくりを推進する。
また,児童のボランティア活動(地域行事への参加等),職業体験,福祉体験等の活動を行い,地域の方と交流を深める機会を設ける。
(2)いじめの早期発見の取組について
いじめは,早期に発見することが,早期の解決につながる。早期発見のために,日頃から教職員と児童との信頼関係の構築に努めるとともに,児童の小さな変化を敏感に察知し,いじめを見逃さない教職員一人一人の認知能力を向上させる。
また,日頃から児童に関わるすべての教職員の間で情報を共有しておく。状況に応じて,保護者とも連携して情報を収集する。
ア 「いじめはある」という認識をもち,日々の観察指導の充実を図る。
日常の生活の中での教職員の声かけ等,児童が日頃から気軽に相談できる環境をつくる。休み時間や昼休み,放課後の雑談等の機会に,児童の様子に目を配り,『児童がいるところには,教職員がいる』ことを目指し,児童の変化を把握するように努める。
イ 教育相談の充実に努める。
児童が悩みやいじめ等についていつでも教師と相談できる体制づくりを行う。全校児童を対象に定期的に教育相談週間(話そう会:二者面談等)を設けて,教育相談を実施する。
ウ 児童の実態把握に努める。
定期的(少なくとも月1回)に「生活アンケート(いじめ実態調査)」を実施する。
いじめられている児童にとっては,その場で記入することが難しい状況も考えられるので,実施方法については記名,無記名,持ち帰り等,状況に応じて配慮する。
エ 保護者との信頼関係の構築に努める。
○ 日頃から,児童のよいところや気になるところ等,学校の様子について連絡する。
また,保護者がいじめに気づいた時に,即座に学校へ連絡・相談できるよう,耳を傾け相談を受け止める体制づくりを整備する。
○ いじめ実態調査において,認知件数が零(ゼロ)であった場合は,当該事実を児童と保護者に公表し,検証を仰ぐなど,認知漏れを確認する。
(3)いじめが起きた場合の取組について
いじめの兆候を発見した時は,問題を軽視することなく,早期に適切な対応をする。いじめられている児童の苦痛を 取り除くことを最優先に迅速な指導を行い,解決に向けて一人で抱え込まず,学年及び学校全体で組織的に対応する。
また,いじめの再発を防止するため,日常的に取り組む実践計画を立て,継続的に支援する。
ア 発見時の対応
○いじめを認知した教職員は,その時に,その場で,いじめを止めるとともに,いじめに関わる関係者に適切な指導を行う。
○学級担任,学年主任,生徒指導主事等に迅速に連絡するとともに,管理職に報告する。
○正確な事実関係を把握するため,複数の教職員で対応することを原則とし,「いじめ問題対策委員会」の指示のもとに教職員間の連携と情報共有を随時行う。
イ 発見後の基本的な対応
○「いじめ問題対策委員会」を中心に対応を決定し,以下の対応を迅速かつ組織的に行う。
・いじめを受けた児童に対する支援並びにその保護者に対する情報提供及び支援
・いじめを行った児童に対する指導及び支援並びにその保護者に対する支援
・周囲の児童を含めた全体の問題として,児童全体への指導
○いじめ問題が指導上困難である場合には,市教育委員会と連携を図り,「いじめ・不登校相談センター」所属の教育相談員,警察や児童相談所等の関係機関と連携するなど,より適切な対策を講ずる。
○インターネットを通じて行われる不適切な書き込み等については,被害の拡大を防ぐため,直ちに削除等の措置を行い,必要に応じて,警察のサイバー対策室や関係機関等の協力や援助を求める。
○いじめを受けた児童が安心して教育を受けられるようにするため必要な措置を講じる。
○いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認める時には,市教育委員会と連携のうえ,学校と警察との連絡制度に基づき適切に対応する。
ウ 解消後の対応
○いじめが解消したと見られる場合でも,再発防止に向けて,引き続き十分な観察を行い,折に触れて必要な指導を継続的に行う。
○教育相談,日記,手紙などで積極的に関わり,その後の状況を把握する。
○いじめの発生を契機として,事例を検証し,再発防止・未然防止のために日常的に取り組むことを洗い出し,実践計画を立て,いじめのない学級づくりへの取組を強化する。
(4)いじめの解消
いじめは,単に謝罪をもって安易に「解消」とすることはできない。いじめが「解消」している状態とは,少なくとも次の2つの要件を満たす必要がある。
ア いじめを受けた児童に対する心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)が止んでいる状態が相当期間(相当期間とは3か月を目安とする。ただし,いじめの被害の重大性からこの期間を超えることにこだわらない。)継続していること。
イ いじめに係る行為が止んでいるかどうか判断する時点において,いじめを受けた児童が,いじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。(いじめを受けた本人及び保護者に面談等により確認)
4.重大事態への対応
◆ 重大事態の定義及び判断
「重大事態」とは,いじめにより学校に在籍する児童の生命,心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(法第28条第1項第1号)及びいじめにより学校に在籍する児童が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(法第28条第2項)をいう。 「相当の期間」については,年間30日を目安とするが,いじめを受けた児童が一定期間,連続して欠席しているような場合には,厳密に30日間に伊あたらない場合でも,市教育委員会又は学校の判断により,重大事態として取り扱う。
また,「認めるとき」の主体は,市教育委員会又は学校であり,「いじめの存在」か「いじめとの因果関係」について疑いがあれば重大事態として判断するものとする。
ただし,いじめを受けた児童又は保護者からの申し立てでは,学校が知り得ない極めて重要な情報であることから,調査をしないまま,いじめの重大事態ではないと断言することができない。
(1)重大事態が発生したときの対応について
ア その旨を市教育委員会に速やかに報告し,教育委員会の指導・支援のもと対応に当たる。
イ いじめを受けた児童及びその保護者に対し,当該調査に係る必要な情報を適切に提供するものとし(法第28条第2項),提供に当たっては,他の児童等のプライバシー保護に配慮する等適切な方法を用いる。
(2)関係機関への支援要請について
重大事態の対応において,市教育委員会と連携の上,必要に応じて専門機関や警察等,関係機関への通報を行い,支援を要請する。
令和元年10月改定